アラサー元百貨店マンの思考整備工場

百貨店に勤務していた社会人3~5年目の記録。もう書きません。

入社2年で同期が全員やめた話②~百貨店業界の光編~

百貨店は死なず。

ただ消えゆくのみ。

 

この記事は、「入社2年で同期が全員やめた話①~百貨店業界の闇編~」の続きです。

まだ読んでないという方は↓こちらから読むと、より楽しめます。

 

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1.前回のおさらい

 

·大手百貨店入社2年で同じ店に配属になった自分以外の同期が全員やめた。

 

·百貨店総合職のキャリアパス

入社後数年間は販売職、その後さまざまな部署を経験し、社内ゼネラリストになる(マネージャーなどになりずっと売場にいる人も多い)。

 

・現行キャリアパスの問題点

①販売職は成長を感じにくい。

②販売職の第二新卒ブランドが死んでからの他業種への転職は困難。

労働市場での競争力がないのに会社コミット型の人事制度

④高学歴を取りすぎ。(収入面・業界の将来性で周りとの格差を感じ転職を考える高学歴が続出)

 

これらの結果、大手百貨店は、勤続年数が20年以上とバカ長いのにもかかわらず、

3年後離職率が高いという何とも言えない現象が起きてしまっています。

 

  3年後離職率(%) 平均勤続年数(年) 平均年収(万円) 平均年齢(歳)
三越伊勢丹

11.0

20.9 852 45.6
高島屋 8.8 23.3 661 46.3
そごう・西武 46.3 22.7 610 46.3
大丸松坂屋 22.0 23.4 733 46.8
阪急阪神 9.6 22.9 671 44.8
近鉄百貨店 20.0 19.8 466 43.3
東急百貨店 10.0 23.1 540 45.9
松屋 10.5 20.1 622 43.7

 (東洋経済新報社就職四季報総合版2020年度版』より)

 

そこで、、、

 

 

2.離職を食い止めるための妄想

 

 

大手百貨店に入社し、同期が次々に退職していくのを見ていたぼくが、

若手の離職を食い止めるための妄想をつぶやいていきます。

 

①採用大学のレベルを下げる。

 

現在:大学単体で見ると多いのは早慶、ボリューム層はMARCH、日東駒専以下が数名

解決案:日東駒専からMARCHをボリューム層に。

 

これを行うと決断するのには、「出身大学別の離職率」というデータが必要です。

どの層が離職率が高く、どこが低いのか。

もし、MARCHレベルより、早慶レベルの方が明らかに離職率が高いのであれば、検討する価値があります。

 

一番手っ取り早い手です。

しかし、これは、企業の価格を自ら下げるようなもので、本質的な解答ではありません。

まずは、より高学歴が離職しないような努力をするべきでしょう。

百貨店がなにもしなければ、価格は自然に落ちていきます。

 

 

②入口を分ける

 

「販売担当業務を総合職から分離」 

 

·エリア総合職または契約社員(高卒·専門·短大卒)の採用を厚くし、販売担当にする。

 

·総合職の入社後の販売担当配属は継続するが、期間を1年間に縮小。

 

·その後は、販売部以外(人事·総務·販売促進·法人営業など)を含めた配属を行う。

販売部配属は裏方業務(POPの作成、イベントコーナーの出店交渉、什器発注、オンライン業務など)を担い、バイヤー·マネージャーを目指す。

専門性が低く、労働市場での価値が低い販売職を総合職から外し、早くから労働市場で評価を受けられる人材を作る。

 

なんとなくですが、採用の際にいくつかの職種に分ける生保のイメージです。

 

予想される反論は以下の通り。

 

「現場をだれもが知っているからこそレベルの高いサービスを提供できる。それがなくなったら百貨店らしさが失われる。」

 

いかにも日本企業の考え方らしい意見ですが、今のスタッフ職をやっている方だって、

販売経験はわずかという人も多いです。(20年のキャリアのうち、販売経験は4年のみ、とか。)

それに、百貨店のサービス力を支えているのは、まぎれもなく長年、売場で販売してきたパートや契約社員のお姉さま方です。

そういった意味では、販売職を切り離し、販売のエキスパートを育てていくことは、

百貨店にとって合理的ではないかなと思います。

 

③社内副業を導入する(2020年7月4日追記)

 

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3.百貨店の総合職のいいところ

 

 

ここからは、百貨店に入社したぼくの客観的主観で感じた、百貨店のいいところをあげていきます 。

 

①桁違いの残業に対する意識 

ぼくは、いままで、自分より残業が少ない友達に会ったことがありません。

百貨店業界は、世間が「働き方改革!!」と騒ぎ始める遥か前から、

残業時間の削減に取り組み始めていた業界です。

(しかし実際の目的は、コストカットして利益を確保すること。)

 

社内では、残業を極力させないという力が強く、

「明日でいい仕事なら明日に回して、早く帰る!」

「残業が発生しそうだとわかったら上司に報告して相談する!」

「始業時間より前に出勤することは禁止!」

 

ということを徹底されます。

大学時代の友達に聞いても、

ここまでの残業に対する意識が浸透している会社はまだ見つかりません。

 

もちろん部署や役職によって状況は異なりますが、ぼくの月の残業時間の平均はだいたい5時間くらい。

繁忙期でも20時間を超えたことはありません。

※2019年8月にはじめて超えてしまいました。(2019年9月4日追記)

 

  残業時間(月) 有休取得年平均(日)
三越伊勢丹 5.0 16.4
高島屋 4.5 11.7
そごう・西武 14.9 5.2
大丸松坂屋百貨店 5.2 9.2
阪急阪神百貨店 12.1 9.9
近鉄百貨店 14.1 9.5
東急百貨店 7.6 9.9
松屋 16.0 9.2

 (東洋経済新報社就職四季報総合版2020年度版』より)

 

②とんでもなく女性が働きやすい

 

 

百貨店業界は、従業員の女性比率が比較的高い業界です。

そのため、社内制度には女性基準で作られているものが多いです。

産休、育休、時短勤務などはもちろん揃っていますし、

なにより、女性社員が多いことによって生まれる「雰囲気」が強い。

 

·女性管理職がたくさんいる「雰囲気」

·育休から復帰して、昇進してマネージャーになれることが普通な「雰囲気」

·女性マネージャーが時短勤務を普通にしている「雰囲気」

 

(その分、男性社員が割を食うことは否めないかもしれません。)

 

③BtoCの感覚が身につく

 

 

(これは接客業全般に言えることですが)

例えば、BtoBの企業に働いているぼくと同年代の人は、「年金支給日がいつか」なんてことはまず知りません。

 50代の女性はどんなクレジットカードを使っていて、商品を選ぶときにどんな基準を持っているのか、など細かい事例の積み重ねで、

BtoCのマーケティングに役に立つ感覚が増えていきます。

 

将来にやりたいことがB2C寄りであれば、この感覚は生きてくるのでは、と思います。

 

 

4.百貨店が生き残る道はある

 

 

それは、

 

「百貨店業を縮小させ、不動産業への転換を進める」

 

こと。

 

ぼくはこれが百貨店が、百貨店という形をできるだけ残すことができる唯一の道だと思っています。

 

現在、沈みゆく百貨店業界には2つの大きな動きがあります。

 

(1)「サービス」という百貨店の武器を磨き直し、百貨店道を極める。

百貨店が他の小売店より唯一秀でているサービス力を生かし、コンシェルジュサービスなどで、ネット通販や他の小売業と差別化し、活路を見出そうとする動き。

具体的企業:三越伊勢丹

 

(2)「脱百貨店」不動産業に転換

「百貨店」という形にこだわらず、テナントを入れ、安定した賃料収入を得る不動産業へ転換していこうという動き。

具体的企業:J.フロントリテイリング(大丸松坂屋·パルコ·GINZA SIXなどを運営)

 

ぼくはこの2つの要素がどちらも重要だと思っています。

ぼくが予想する百貨店の将来像は、

 

本店レベルの旗艦店(銀座三越·新宿伊勢丹·日本橋高島屋·松屋銀座など)

「ハイレベルなコンシェルジュサービス」「レトロ感」を売りにした店舗

 

都心店も含むその他の百貨店(西武渋谷·新宿高島屋·千葉そごうなど)

→百貨店要素を5%だけ残したテナントビル

 

このような形です。

不動産業への転換、つまり「ショッピングセンターを作るデベロッパー化」が有効であるということは、すでにJフロントリテイリングが証明しています。

piles-garage.com

 

一方で、ぼくは本店レベルの旗艦店には2種類の需要が見込めると考えています。

 

ひとつめは「ハイレベルなコンシェルジュサービス」です。 

すでに百貨店には外商という他の小売店にはない富裕層向けのサービスがあり、

強力な収入源になっています。

アイテムやブランドの垣根を越えて商品やライフスタイルを、マスだけではなく個人に提案できるのは百貨店の強みです。

そういったコンシェルジュサービスを店頭でも強化できれば、

とても強力なサービスになると考えます。

 

 ふたつめは、「レトロ感」です。

おそらく、数十年後、小売業の中で最後まで人がレジを打っているのは

百貨店だと思います。

 

50年後の地方から東京に観光しに来た若いカップルが

「百貨店ってまだ人が接客してるらしいよ!面白そうだから行ってみようよ!」

という感じで、残り僅かな数になった百貨店に来るという未来をぼくは予想しています(笑)

 

現在でも、日本橋高島屋日本橋三越の建物が重要文化財に指定されるなど、

レトロ感を感じられる内装や外装の店舗がいくつかあります。

また、エレベーターガールもその要素のひとつです。

 

100年以上の歴史がある「老舗百貨店」というブランドも相まって、

こういった魅力は未来にも残り続けるだろうと思います。

 

 

5.まとめ


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·百貨店総合職の若手の離職を食い止めるには、「入口を分け」、販売職を分離する。

·百貨店が生き残る道は、

 ①本店レベルの店の「コンシェルジュサービス」と「レトロ感」を強化

 ②それ以外の店をショッピングセンター化

 

百貨店への就職に少しでも興味がある就活生や転職希望者、

百貨店からの転職を希望している方にとって、少しでも参考になれば、と思います。

 

 就活生向けの記事も書きました。加えてどうぞ↓

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