アラサー元百貨店マンの思考整備工場

都内大学→新卒百貨店→広告代理店。人生2周目を迎えた名もない人間の物語を書きます。

リアル店舗とオンラインストアの商品を一致させるべき理由【百貨店】

ぼくは、百貨店の売場(リアル店舗)とオンラインストア

商品の展開を一致させることがかなり重要だと考えています。

 

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百貨店のEC売上は、雀の泪ほどしかない

 

2020年は小売業界全体でEC化が進みました。

百貨店も例に漏れず、オンラインストアの売上が爆上がりしました。

三越伊勢丹は、2021年3月期のEC売上げを前期と比べて48%増の310億円と予想。

しかし、それでも売上全体に占めるオンライン売上の比率はわずか4%となっており、

コロナ禍を乗り切るための切り札には到底なり得ないという現状です。

 

生活習慣が様変わり変わりし、コロナ禍が明けたとしても、コロナ以前と同じ水準には戻らない、という予想が市場の大半を占めています。

オンラインで売上を本気で取っていくためには、

EC事業の抜本的な改革が必要なのは明らかです。

 

 リアル店舗オンラインストアの商品を一致させるべき理由

 

人は答え合わせでしか動かなくなる

それは「人はますます答え合わせでしか動かなくなるから」

だと考えています。

 

バブル崩壊後から永らく続いている不況や、人口減少社会に転じたこと、さらに直近では、新型コロナ蔓延などにより、

家計の経済状況は悪化し、将来に対する不安は日々大きくなってきていると考えられます。

 

それによって、消費者が消費するときの、

「お金と時間を損をしたくない」というマインドがより強くなっているのは、

みなさんも容易に共感できるのではないでしょうか。

 

つまり、オンラインで商品を購入するにしても、

商品を購入する前に、リアル店舗に行って実際に見たり、触ったり、試したり、

ライブコマースやオンライン接客により、商品について十分に検討してから、

購入する、という需要が大きくなっていくのではないか、ということです。

 

 

「ビフォー買い」「アフター買い」

これら消費者の新しい消費行動のことを、三浦崇宏さんは著書『超クリエイティブ』の中で、「ビフォー買い」「アフター買い」として説明しています。

 

 

  

①ビフォー買い

実店舗に足を運ぶ前(足を運ぶことなく)に買う。

デジタル上の訪問販売のような形。

(例)中国などで行われているライブコマース。

百貨店で現在行われている、1客に対するリモート接客もこれにあたる。

→店舗が「スタジオ」になる。

 オンライン接客の様子(報道陣向けのデモンストレーション) Image by FASHIONSNAP.COM

オンライン接客の様子(報道陣向けのデモンストレーション)
Image by: FASHIONSNAP.COM

 

②アフター買い

実店舗に足を運び、商品を手に取り、体験、もしくは会員登録を済ませ、

家に帰ってからECサイトで商品を買う。

(例)多くのD2Cブランドが展開。

→在庫を店舗にストックしておく必要がなくなり、来店客数が減る。

 店舗の面積が小さくて済むようになる。

 

 ネットショッピングのイラスト

  この「ビフォー買い」「アフター買い」を成立させるための条件が、

まさに、「リアル店舗オンラインストアの商品を一致させる」ということなのです。

 

 

一致してないと、どうなるのか。

……

オンラインストアで見つけて)「これいいな、でも買う前にリアル店舗で試してみたいな。でもリアル店舗では売ってないのか。」

→じゃあ買うのやめよ。

 

リアル店舗に来て)「買うか迷って結局買わなかったけど、やっぱり買おうかな。あ、オンラインストアで売ってないのか。」

→じゃあ買うのやめよ。

 

簡単に言うとこういうことです。

 

 

リアル店舗ショッピングの魅力として、

「店頭を歩いていたら偶然で見つけて買ってしまった!」という宝さがし的な楽しさ、があります。

百貨店はまさに、そういうエンタメを提供してきたし、今後も提供し続ける価値はあると思います。

 

しかし、このコロナ禍で、そういった「宝さがし的消費」(お金と時間も)の需要
は小さくなっていき

店頭で商品を見た後に、帰りの電車の中で他の店の商品と比較・検討してからオンラインストアで購入するような「答え合わせ的消費」の需要が大きくなっていくと、ぼくは考えています。

百貨店も「答え合わせ的消費」の需要にこたえるため、対応していかなければならないと思います。

 

まとめ

 

というわけで、今回は「リアル店舗オンラインストアの商品を一致させるべき理由」について、考えをまとめました。

この件については、ぼくも日々の業務の中で、できる範囲から仕掛けていきます。

 

 以上