アラサー元百貨店マンの思考整備工場

都内大学→新卒百貨店→広告代理店。人生2周目を迎えた名もない人間の物語を書きます。

入社2年で同期が全員やめた話①~百貨店業界の闇編~

大手百貨店、入社2年で、同じ店に配属になった同期が全員退職し、

僕は1人になった。

 

1年目

·大手百貨店に総合職として入社。同時に転職サイトに登録する。

·中型店の食料品販売部に配属

·3月に同期のエリア総合職の女子が数ヵ月の休職の後、退職。

 

 2年目

·同期の総合職の女子が退職。他業種の大手企業に転職。

 

 

※この記事は特定の企業を批判しているものではありません。百貨店に入社したぼくの客観的主観によって書かれた記事であるということをご理解ください。

 

1.入社2年で同期が全員やめた。


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ぼくが入社したのは、全国に店舗を持つ大手百貨店。

同期入社は、総合職といわゆるエリア総合職をあわせて全国で80人くらいだったと思います。

 

入社から数ヵ月間の座学および店舗研修を終えた後、全員が各店の販売部の売場に配属されます。

ぼくたちの代は、大型店には10人前後、中型店に3~5人程度配属になりました。

 

ぼくと同じ店の配属になったのは、自分を含め3人。ぼく以外の2人の退職理由は以下の通り。

 

・1人目・・・仕事に対するモチベーションを保てなくなったこと。

 

・2人目・・・ この仕事は「やりたいこと」ではなく、より成長できる場所に行くべきだと思ったこと。

 

 

2.百貨店総合職のキャリアパス

 

百貨店の総合職の仕事には、様々なものがあります。

自主売場の販売担当のほかに、バイヤー、マネージャー、外商、総務、経理、販売促進、EC、法人営業、、、などなど。

 

ぼくの会社では、「販売が命。誰もが現場を知っていなければならない!」という考えのもと、入社してまずは全員、各店の販売部で文字通りの販売をします。

具体的には、

百貨店の自主運営の売場に入り、先輩社員や、パートのお姉さま方たちと一緒に販売をしていきます。

それと同時に、同じフロアの取引先ブランドへの指導·サポートなどの役割も担います。

 

そして、数年経つと、ジョブローテーションがあり、本社を含む他の店舗に異動します。

他店のバイヤーになったり、本社の法人営業部にいったり、販売部以外の異動もあるのですが、

「ただ店が変わって役職もつかずに販売担当のまま」という人もいます。(そういう人はだいたい5年目か6年目かにバイヤーなどになる人が多いですが)

 

それからあとは、特に異動のタイミングが指定されておらず、

異動の希望は、毎年、人事に提出するキャリアシートに記入することによって出すことができますが、ほとんど通らないという話を先輩からよく聞きます。

 

会社の考え方、風土としては、現場と本社で「どっちが偉い」ということはなく、

昇進は、経営層未満は試験によって決まり、いわゆる「出世コース」というものが明確になっているわけではありません。

 

よって、入社からずっと現場(販売部)で、バイヤー、マネージャーと進んでキャリアを終える人も全く珍しくありません。

一方で、様々な部署を3〜5年程度ずつで渡り歩いて、なんでも広く浅く知っている「社内ゼネラリスト」になる人もいます。

 

 3.現行キャリアパスの問題点

 

① 販売の仕事が地味

 

こんなことを言うと昭和生まれの大人からお叱りを受けてしまうかもしれません。

しかし、あえて本音を言うとすれば、販売の仕事をしていても、成長している実感が湧きにくく、「ただ仕事をこなしている感」しかしません。

例えば、営業職であれば、

「1年目は〇件しか契約が取れなかったけど営業力を磨いたら、3年目は〇件取れるようになった!」とか。

 

技術職であれば、

「1年目はこんなプログラム作れなかったけれど。今は余裕で作れる」など、

 

成長している実感が湧きやすい機会があると思います。

しかし、販売職であると、それが、なかなか感じる機会が少ない。

なぜなら販売職は他の職種と比べて専門性が低いからです。

 

もちろん、「できなかった仕事ができるようになった」経験はたくさんありますが、

それはただ、仕事の手順を覚えただけであって、自分の中の力が上がったとはなかなか思えません。

 

 

②異動を待っていたら第二新卒ブランドが死ぬ

 

ぼくが懸念している最大の問題がこれです。

 

一般的に、他業種に未経験で飛び込むことができる「第二新卒」と呼ばれる期間は、

「大学卒業後3年以内」「25歳以下」が目安とされています。

 

そうすると、ぼくの会社では、

第二新卒の期間、ずっと販売をしていることになるわけです。

就活のときから迷いなくこの会社を選び、会社に忠誠を誓おうと覚悟できた人は、

まったく問題ありません。

しかし自分のキャリアを流動的に考えている人にとっては、入社から3年以上が経って(第二新卒ブランドがなくなって)、いざ転職をしよう、となったときにキャリアに

販売経験しかない、ということは致命的です。

 

実際に、ビズリーチなどのスカウトサイトに登録してわかりましたが、 

スカウトメールが来るのは、8割が小売·流通業界の企業からです。

第二新卒ブランドがまだあるぼくでさえそうなのだから、

ブランドがなくなってしまい、販売経験しかないとなると、

さらに厳しくなるのは明白です。

 

③会社コミット型の人事制度

 

百貨店は、昭和の日系大企業の典型的人事制度を採用しています。

つまり、総合職という概念を用いて、社内のいろんな部署を少しずつ経験させ、

社内ゼネラリストを作っていこうとする人事です。

社内スキルは身に付きつきますが、他社・他業界で通用する力とは限りません。

 

かつて、日系の大企業はこの人事制度で、成長し続け、百貨店もその例外ではありませんでした。

しかし、このタイプの人事制度が成り立つのは、企業の労働市場での競争力があることが前提です。

つまり、新卒で入社し、定年までこの企業で働こうと思って転職なんて考えもしないような会社でなければ、成り立たない、ということです。

 

労働市場での競争力が以前ほどない百貨店がこのまま使い続けるのは、難しいのではないかと思います。

 

 

④高学歴を採りすぎ問題

 

大手の百貨店の四季報を見ればわかりますが、新卒入社の総合職のほとんどが、

いわゆるMARCHレベル以上の大学出身で、一番多いのはだいたい早稲田か慶応のどちらかです。

これは、↑上の大学の学生を確保するためにリクルーター制度を用いたり、学歴フィルターを用いたりしている結果でしょう。

 

バブル以前は、百貨店業界も人気業界の1つだったといいます。

先輩にも、今でいうメガバンクの内定を蹴って就職したという人もいました。

しかし、百貨店不況が叫ばれて久しい現在、就活人気企業ランキングに百貨店がランクインすることはありません。

ぼく自身、↑上の大学出身ですが、大学4年の当時、ゼミの友達に「百貨店に就職する」と伝えると、

「えっ?なんでそんなところに?」という反応をされました。

 

百貨店業界の不人気の主な原因の一つには、業界の将来性·収入面にあると思います。

例えば、早慶出身者であれば、友達に30代で年収1000万を優に超える業界に就職した奴なんてごろごろいます。 

そんな中で、 「20代〜30代の年収がとても低く、30代でやっと500万を越えるかどうか、業界の将来性は不透明」

なんていう百貨店業界の話を聞けば、就活生がエントリーを踏みとどまるのはもちろん、

入社したての、まだ第二新卒ブランドを使って未経験の業界に飛び込める選択肢がある若手社員が、転職を考えてしまうというのはごく自然なことだと思います。

 

(※百貨店業界でも、大手となれば、一般の企業と比べれば年収·待遇はわりと良いほうです。上場企業の平均と比べてもいいです。でも、そういう問題ではない.....詳しくは次の記事「入社2年で同期が全員やめた話②~百貨店業界の光編~」にて書きます。)

 

4.次回予告

 

さて、ここまで、20代から見た百貨店業界の人事システム全体の改善点になりうること(主に闇)について書いてきました。

次の記事「入社2年で同期が全員やめた話②~百貨店業界の光編~」では、

今回の改善点の解決案、また百貨店業界の光についてまとめていきたいと思います。

 

続きはこちらからどうぞ。

achten.hatenadiary.com

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