アラサー元百貨店マンの思考整備工場

都内大学→新卒百貨店→広告代理店。人生2周目を迎えた名もない人間の物語を書きます。

映画『ジョーカー』は善悪とはなにか暴力的に問いかける【感想】


映画『ジョーカー』を観てきました。

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公式ホームページより引用

wwws.warnerbros.co.jp

 

※多少のネタバレを含みますので、新鮮な気持ちで観たいという方は読まないでください。

 

 

 

 

 

どう受け止めればいいかわからなかった

 

 

観てすぐの正直な感想がこれです。

観終わってスクリーンから出ていくときも、

 

「意味がわからなかった。」

「難しかった。」

「もっと面白いと思ってた。」

 

と困惑した声が多数聞こえました。

 

 

『ジョーカー』は「アメコミ映画」ではない

 

理由の1つはこれでしょう。

確かに、ジョーカーは、アメリカのマンガ出版社『DCコミックス』の漫画、『バットマン』に登場するヴィラン(悪役)です。

アメコミ映画的要素(MCUとかほかのDC映画とか)を少しでも期待して観に行くと、

絶望的に裏切られます。

 

本作を無理やり一言で分類するならば、

「社会派映画」でしょう。

※しかし、政治的なメッセージはないと監督が公言しています。

 

普段社会派映画を観ない人が、アメコミ映画だと思ってこれを観に行ったら頭の中が混乱の嵐になるのは当然です。

 

ぼくは観る映画のうち体感で1〜2割くらいは社会派映画を観るのですが、

特に『ジョーカー』は、受け止め方に戸惑う映画でした。

 

 

感情の行き場に迷う

 

作中で、主人公アーサー(=ジョーカー)はあらゆる社会問題の被害者になってしまいます。

障害者差別、介護、幼児虐待、母子家庭、社会福祉費の削減、これらによる貧困。

 

「社会に存在を無視され、(ジョーカーになるまで)、自分が存在しているのかどうかもわからなかった」

 

という趣旨のアーサーのセリフがありました。

弱者が社会にスポットライトを当てられることなく日々摩耗する様子は、

現在のアメリカや日本を想起せざるを得ませんでした。

 

とても恐ろしいのは、

なにか大きな事件が起きて、アーサーが追い詰められていくのではなく、

ただ、自然と、静かに社会から拒絶されていくことです。

 

多くの社会派映画は、 大きな事件を軸に1つの主題を観客にぶつけてきます。

(ぼくは「それでも僕はやってない」「悪人」「怒り」などを思い浮かべました。)

 

なんというか、観ている方も「想いをぶつける場所」がなんとなくわかるのです。

「ジョーカー」はそれがどこかわからない。

 

言い換えれば、「アーサーがどうしたらジョーカーにならなくて済んだのか」がわからないということ

この問いに対するぼくのひとつの答えは「孤独でなければよかった」ということ。

しかし、しっくりこないのです。

 

観ている間、終始こんなに顔が引きつったままの映画は初めてでした。

 

 

善悪の価値観を暴力的に揺さぶってくる映画

 

 

そんな中でも僕がこの映画の主題だと感じたのは、

 

「善悪とは主観」

 

ということ。劇中のジョーカーになったアーサーのセリフに、

「悲劇も喜劇も主観なんだ。善悪も主観なんだよ。」

という趣旨のものがあります。

 

「善悪は主観で、絶対的なものではない。お前の善悪の基準はなんだ?考えたことがあるのか?」とこの映画は暴力的に訴えかけてきます。

 

この主題を伝える手段として、この映画は、

アーサー(=ジョーカー)にとことん感情移入させるということをしてきます。

 

たとえ精神状態が健康な人でも、社会に無視され、弱っていくアーサーを見せられると、恐ろしいことに、アーサーが人を殺したことすら理解でき、同情してしまう人も多いのではないでしょうか。

 

映画の終盤に、アーサーが、階段で踊るシーンのホアキン・フェニックスの演技に、

不気味さと高揚感が入り交じった感情を引き起こされました。

 

見る人によってはとても危険な映画だと思います。

 アメリカではすでに警察が出動しているそうです。

theriver.jp

 

 

映画を観て、またその後にいろんな考察ブログや動画を見て、いろんな感情や考えが湧き上がってきましたが、それをひとつの記事に素早くまとめる処理能力はありませんでした。

それほど、考えさせられ、考える余地がある映画でした。

余裕があればもう一度観に行こうかなと思います。

 

 

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