終わらない仕事を無理やり終わらせて、
「22時以降は深夜残業になるから」と
帰路に立った。
駅から家までの間で、まだ電気がついている学習塾を見つけた。
自分も大学時代、自分が通っていた塾でアルバイトをしていたのを思い出した。
中学生の生徒たちを21時半に送り出して、終礼が始まるのは22時近くだった。
一番よく乗る帰りの電車は確か22時27分発だった。
思えば、浪人のときも、高校の時も、中学の時も、
塾や予備校から出るのは22時だった。
「22時」は、今となっては深夜残業になる境目の時刻で、
それまで仕事をしていると「今日はかなり遅くなったな」という感じだが、
今までの人生を考えると、その時間までなにか頑張っているのは、別に珍しいことではないことに気が付いた。
「働き方改革」「ワークライフバランス」「深夜残業」という言葉は、「大人」になった社会人の言葉だったのだ。
大人になってしばらくたつと、
「楽しいこどもの頃に戻りたい」とか思ってしまうこともなくはないけれど、
別にプレッシャーとか葛藤とかがなくて、遊んでたわけじゃなかった。
そんな時代を生き抜いた大人なら、別に生活を何かに懸けることなんて、なんてことないはずだ。